文献詳細
文献概要
検査報告書の書きかた 細菌検査・1
便培養検査
著者: 菅野治重1
所属機関: 1千葉大学医学部臨床検査医学講座
ページ範囲:P.1065 - P.1068
文献購入ページに移動はじめに
細菌検査の主要な目的は“感染症の起炎菌の決定”であるが,最近は近い将来感染症を発症する可能性が高い患者に対する“常在菌叢の監視”や,院内感染防止のためにMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの“特定菌の検出”を目的として細菌検査が依頼されることが多い.このような検査目的の多様化に検査室が対応するために,当検査室では細菌検査をその目的から,“起炎菌の決定”,“常在菌叢の監視”,“特定菌の検出”の3種類の検査依頼用紙を作成し,各々の検査目的に対応させて検査内容を変えている.
細菌検査には多種の検体が提出されるが,便や咽頭粘液は検査目的や患者背景によって検出対象となる微生物の種類が大きく異なる検体であり,目的別検査依頼システムが特に有効に機能する領域である.いずれの検体も患者に関する情報を入手することが検査を行ううえで重要であるが,特に便検査では,旅行歴(特に外国旅行歴),動物との接触,同様の症状を呈する者の有無,予想される原因食品,下痢の性状(血性,水様など),最高体温,嘔吐の有無,腹痛の部位,抗菌薬の投与歴などの情報が原因菌を推測するうえで重要である.
細菌検査の主要な目的は“感染症の起炎菌の決定”であるが,最近は近い将来感染症を発症する可能性が高い患者に対する“常在菌叢の監視”や,院内感染防止のためにMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの“特定菌の検出”を目的として細菌検査が依頼されることが多い.このような検査目的の多様化に検査室が対応するために,当検査室では細菌検査をその目的から,“起炎菌の決定”,“常在菌叢の監視”,“特定菌の検出”の3種類の検査依頼用紙を作成し,各々の検査目的に対応させて検査内容を変えている.
細菌検査には多種の検体が提出されるが,便や咽頭粘液は検査目的や患者背景によって検出対象となる微生物の種類が大きく異なる検体であり,目的別検査依頼システムが特に有効に機能する領域である.いずれの検体も患者に関する情報を入手することが検査を行ううえで重要であるが,特に便検査では,旅行歴(特に外国旅行歴),動物との接触,同様の症状を呈する者の有無,予想される原因食品,下痢の性状(血性,水様など),最高体温,嘔吐の有無,腹痛の部位,抗菌薬の投与歴などの情報が原因菌を推測するうえで重要である.
掲載誌情報