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インスリン抵抗性改善剤
著者: 梶沼宏1
所属機関: 1東邦大学医学部附属大橋病院糖尿病科
ページ範囲:P.1087 - P.1090
文献購入ページに移動かつては1日のインスリン必要量が100単位以上の糖尿病患者はインスリン抵抗性があると考えられ,そのような症例はある種の遺伝性疾患や特殊な病態に伴う極めてまれな場合と考えられていたが,近年,糖尿病の病態の研究が進むと,一般的なインスリン非依存型糖尿病でもインスリン分泌不足ばかりでなく,大なり小なりインスリン抵抗性のあることが明らかになってきた.インスリン抵抗性とは,インスリンの絶対量は不足していないのに,その効果が十分に発揮されないことを指すが,インスリン不足の場合と同様に高血糖をきたし,糖尿病を発症する(図1).
一方,耐糖能異常の程度とは関係なく,動脈硬化をきたしやすい症候群が注目されるようになり,syndrome X,deadly quartet,内臓脂肪症候群などと呼ばれているが(表),耐糖能異常,脂質代謝異常,高血圧症などの動脈硬化の危険因子の原因としてインスリン抵抗性が関与していると考えられている.そこで,これらは“インスリン抵抗性症候群”と総称されている.
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