検査と技術25巻12号

1997年11月発行

トピックス

HCV感染症における糸球体腎炎

著者： 金井達也¹

所属機関： ¹東京慈恵会医科大学内科学講座第2

ページ範囲：P.1092 - P.1095

はじめに
　今日，糸球体腎炎の発症には，抗原抗体複合物の糸球体内沈着など，免疫学的機序が関与すると考えられているが，その惹起抗原や糸球体障害の詳細なメカニズムなどにはいまだ不明な点が多い．1989年，C型肝炎ウイルス（hepatitis C virus；HCV）の検出法が開発されて以来，HCV感染に伴う糸球体障害が報告され，その発症にはクリオグロブリン（cryoglobulin；CG）を介したHCVの関与が示唆されており，新たな腎炎惹起抗原による特異な糸球体障害機序として注目されている．
　本稿では，このHCV関連腎症という疾病概念が提唱されるに到った経緯を述べるとともに，本症における現時点での検討課題について概説する．