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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻13号

1997年12月発行

検査データを考える

呼吸不全における検査データ—動脈血ガス分析と呼吸機能

著者: 片山弘文1 滝沢始1 四元秀毅2

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部 2国立療養所東京病院

ページ範囲:P.1161 - P.1164

文献概要

はじめに
 わが国において呼吸不全の定義は,1969年笹本,横山1)によって「原因のいかんを問わず動脈血液ガス,特にO2とCO2が異常な値を示し,そのため生体が正常な機能を営みえなくなった状態」と提唱され,その後,1982年厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班2)により,表1に示す呼吸不全の診断基準が発表されるに至った.その内容は,①原因のいかんを問わず呼吸不全を室内気吸入下,動脈血酸素分圧を60Torr以下と規定.②換気不全合併の有無によりI型(Paco2≦45Torr),Ⅱ型(Paco2>45 Torr)に分類しているのが特徴である.
 呼吸不全には,図1に示すように3つの場合がある.ⓐ肺胞動脈血酸素分圧較差(A-aDo2)の開大はあるが,Paco2の上昇を伴わない場合,ⓑPaco2の上昇とA-aDo2開大がともにある場合,ⓒPaco2上昇を伴うが,A-aDo2の開大がない場合である.A-aDo2の開大を伴うⓐ,ⓑは,肺自体の障害によるガス交換率低下の存在を示しているが,Paco2の上昇を伴うⓑ,ⓒは,体内で生産されるCO2を体外に十分排泄できない状態(肺胞低換気)の存在を示している.このためPaco2の上昇を伴わない場合をI型呼吸不全,伴う場合をⅡ型呼吸不全として区別している.表2に呼吸不全の原因となる疾患を,表3に呼吸不全の臨床症状を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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