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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻13号

1997年12月発行

トピックス

フォリスタチン

著者: 新谷保実1

所属機関: 1徳島大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1176 - P.1178

文献概要

フォリスタチンとは
 1985年,下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH)分泌を選択的に抑制するインヒビン(inhibin;INH)が卵胞液から純化・精製され,その構造はαとβの2つの異なるサブユニットが結合したヘテロ2量体であることが明らかにされた1).続いて,βサブユニットのホモ2量体であるアクチビン(activin;Act)は,INHとは逆に,FSH分泌を促進する作用を有することが報告された1)
 フォリスタチン(follistatin;FS)はINHと同様に下垂体前葉からのFSH分泌抑制活性を指標に卵胞液から精製された一本鎖糖蛋白で,1987年,2つの異なるグループによりそれぞれ報告された2,3).FSは下垂体からのFSH分泌を抑制するが,黄体化ホルモン分泌には影響を及ぼさない点ではINHと同様である.しかし,INHと構造上の相同性はなく,またFSH分泌抑制作用はINHの約30%である.一方,1990年,ラット卵巣からActと特異的に結合する蛋白が精製されたが,驚くべきことに,このAct結合蛋白はFSと同一構造であることが証明され4),FSの作用が内因性Act作用の阻害によることが明らかとなった.さらに,その後の検討により,FSとActはいずれも性腺以外の組織にも広く分布し,FSH分泌の調節以外にも多彩な生理作用を有することが報告されている5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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