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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻13号

1997年12月発行

文献概要

トピックス

血小板から放出される細胞間メッセンジャーとしてのスフィンゴシン-1-リン酸

著者: 矢冨裕1

所属機関: 1山梨医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.1179 - P.1181

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はじめに
 細胞膜脂質二重層は,グリセロリン脂質,スフィンゴ脂質,コレステロールよりなる.このうちグリセロリン脂質に関しては,単なる細胞膜の構成員としてだけではなく,膜を介する情報伝達機構における関与としての,つまりシグナル分子としての重要性が確立されている.一方,基本骨格としてスフィンゴシンを持つスフィンゴ脂質に関しても,シグナル分子としての役割という新しい側面からの報告が最近相次いでいる.中性スフィンゴミエリナーゼによりスフィンゴミエリン(細胞膜の構成員)から生成されるセラミド,それにセラミダーゼが作用した代謝産物であるスフィンゴシン,さらにはそれにスフィンゴシンキナーゼが作用して産生されるスフィンゴシン-1-リン酸(sphingosine-1-phosphate;Sph-1-P)など(図1)が重要なメッセンジャーとして増殖・分化・アポトーシスをはじめとする種々の細胞機能に関与していることが想定されるに至っている1).高度に分化した無核の細胞である血小板においては,これらスフィンゴ脂質の機能的役割に関してはほとんど知見がなかったが,筆者らの研究により,Sph-1-Pが血小板由来の脂質メディエーターとして,重要かつユニークな作用を持つことが明らかになった.
 本稿では,血小板Sph-1-Pの機能的役割に関して簡明に説明したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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