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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻2号

1997年02月発行

文献概要

けんさアラカルト

血中遊離型PSAの測定法

著者: 石橋みどり1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央検査部

ページ範囲:P.120 - P.120

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 前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)は1979年,Wang MCら1)によって精漿より分離精製された糖蛋白で,前立腺上皮細胞から分泌されるセリンプロテアーゼである.前立腺上皮細胞で生成されたPSAはfree型であるが,血清中のPSAはプロテアーゼインヒビターであるα1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotrypsin;ACT)と結合したcomplex型とPSA単独のfree型の2つの存在様式が知られており,その比率はおよそ9:1である.α2-マクログロブリン(α2-macroglobulin)との結合型も存在するが,これは免疫学的測定によって検出することはできない.PSAは前立腺疾患で血中濃度が上昇してくることから,1980年代より前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)とともに前立腺癌(CaP)のマーカーとして測定されるようになった.現在では最も特異性の高いCaPのマーカーとして広く利用されている.しかし,PSAは前立腺肥大症(BPH)を代表とする良性疾患でも血中濃度が上昇する.特に20ng/ml以下の濃度域ではBPHとCaPのオーバーラップが大きく,その鑑別は困難である.total PSAの単独測定よりさらにCaPの測定効率を上げるため,freeまたはcomplex PSAを測定し,totalに対する比率を求める試みが近年盛んに行われている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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