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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻2号

1997年02月発行

文献概要

トピックス

ペニシリン耐性肺炎球菌の病原性

著者: 玉田貞雄1 渡邉信介1

所属機関: 1川崎医科大学呼吸器内科

ページ範囲:P.167 - P.170

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 肺炎球菌はグラム陽性球菌に属する菌で,人に対し肺炎,上気道感染症などの呼吸器感染,中耳炎などの耳鼻科感染や髄膜炎を起こす臨床上重要な菌である.また以前より耐性化が問題とされていた同じグラム陽性球菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)が,悪性腫瘍や化学療法により免疫機能の低下した宿主や基礎疾患を有する宿主に限り主に病院内感染として発症するのに対し,肺炎球菌では免疫機能が正常な人に対しても病院外感染として発症させる強い病原性を有する.またMRSAでは,MRSA感染症そのもので死亡することはバンコマイシンなどが使用可能な現在ではまれであり,基礎疾患の悪化や,合併症などがその予後を左右する重要な因子である.他方,肺炎球菌では基礎疾患に関係なく,肺炎球菌感染症自体で死亡する劇症感染症もまれでなく,その病原性は極めて高い.
 近年,種々の病原菌の薬剤に対する感受性の低下および耐性が話題となっているが,薬剤の菌に対する感受性は,一般に培地上でその菌の発育を阻止できる最小の抗菌薬濃度,すなわち最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration;MIC)によって評価され,耐性の基準は病原性,薬剤の特性に応じて薬剤ごとに決められている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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