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CTスキャンによる体脂肪測定法
著者: 新井武志1 松沢佑次2
所属機関: 1市立芦屋病院内科 2大阪大学医学部第2内科
ページ範囲:P.384 - P.387
文献購入ページに移動肥満とは「身体に占める脂肪組織(体脂肪)が過剰に蓄積した状態」であり,糖尿病,高脂血症,高血圧症,虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞),脳血管障害(脳出血や脳梗塞)などの成人病を合併しやすいことはよく知られた事実である.体脂肪の測定は従来,水中体重法によって体比重を測定する方法や3H2Oにより体水分量を計算する方法,また体内カリウムによりlean body mass(LBM,体の構成成分のうち脂肪組織以外の部分)を求める方法,皮下脂肪厚をキャリパーや超音波によって計算する方法などがあり,また最近ではインピーダンス法,CTスキャン1)やMRIによる方法,DEXA(dual energy X-ray absorptometry)による方法などが行われている.
一方,1940年代,フランスのVagueらが肥満者の体型と臨床像との関連に注目して以来,脂肪量の量的な増加よりも,脂肪の付きかたの質的差異(脂肪分布,どこに脂肪が蓄積しているか)がより重要であることが明らかとなっている.例えば,糖尿病などの合併症の頻度は肥満度が高くなるほど増加するが,個々の例をみると,その程度(重症度)は必ずしも肥満度と一致せず,脂肪分布と強く関係している.言い換えれば,肥満は脂肪分布を検討することで,臨床上あまり問題のない良性肥満と種々の合併症を持つか,あるいは将来合併する可能性の高い悪性肥満に分けられる2,3).
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