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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻4号

1997年04月発行

文献概要

トピックス

PSAは前立腺癌のスクリーニングに役だったか?

著者: 冨田京一1 河邉香月1

所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.392 - P.394

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はじめに
 前立腺癌は欧米では男性の中で一番罹患率が高く,その診断方法と治療が非常に注目されている.本邦においても,泌尿器科癌の中では一番罹患率が高く増加傾向にあり,関心が高まってきている.
 前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)は前立腺上皮細胞で産生される単鎖糖蛋白で,237位のアミノ酸と4個の炭水化物側鎖によりなり,その分子量は34kD(キロダルトン)と算定される.このPSAをコードする遺伝子は常染色体の19番目に存在する.PSAの働きはカリクレイン様作用を持っセリン・プロテアーゼで,通常,精液中に分泌され,精液が凝結した後,その融解に働く.血中にも出現し,その半減期は2.2±0.8日または3.2±0.1日といわれている.従来,前立腺癌の腫瘍マーカーは前立腺酸性ホスファターゼ(prostate acid phosphatase;PAP)であったが,近年はPSAにとって代わられている.その理由の第1はPSAは臓器特異性が高いことで,他臓器由来の酸性ホスファターゼとの交差反応をその測定上,示さない点である.PSAと並んで,同一蛋白であるγ-セミノプロテインがあるが,これはα1-アンチキモトリプシンと結合しないフリーのPSAを測定しているとされ,結合している部分が測定できないためPSAに比べると頻用されていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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