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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻5号

1997年05月発行

文献概要

日常染色法ガイダンス 糖質の日常染色—複合糖質(ムコ物質)の染色

アルシアン青染色

著者: 田村邦夫1

所属機関: 1社会保険中京病院検査部・病理第1係

ページ範囲:P.453 - P.455

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目的
 アルシアン青は酸性粘液多糖類のカルボキシル基,あるいは硫酸基と結合して酸性粘液多糖類を染め出す.pH2.5の染色液ではカルボキシル基や硫酸基を有する酸性粘液多糖類を染め,pH1.0の染色液では硫酸基を有する酸性粘液多糖類のみを染める.このように,アルシアン青染色では染色液の水素イオン濃度によって染色される酸性粘液多糖類が異なってくる.酸性粘液多糖類はカルボキシル基を有するピアルロン酸と硫酸基を有するムコイチン硫酸,コンドロイチン硫酸,ケラト硫酸,ヘパリンなどに分類されている.組織成分からみると,酸性粘液多糖類は腺上皮細胞から分泌される粘液,軟骨,肥満細胞の顆粒,細胞膜表面のsurface coat,結合織や支持組織の細胞間物質として生体に広く存在している.したがって,アルシアン青染色陽性を示す腫瘍細胞は,これらの組織成分を発生母地とする腫瘍細胞の由来の推定や腫瘍細胞の粘液の証明など,鑑別診断の一助となっている.
 また,組織化学的な酸性粘液多糖類の鑑別方法は酵素の基質特異性を利用して,酸性粘液多糖類を消化後にアルシアン青染色を行う.その染色性の有無から酸性粘液多糖類を推定し,詳しく分類するときにも用いられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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