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クリプトスポリジウムの水系感染
著者: 松井利博1
所属機関: 1杏林大学医学部熱帯病・寄生虫学教室
ページ範囲:P.483 - P.485
文献購入ページに移動1994年8月から9月にかけて,神奈川県平塚市で飲食店10店舗が入居する雑居ビルの従業員と客の461人に集団下痢症が発生し,その原因はビルの水道水受水槽と隣接した排水槽の一部が破損し,クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)原虫が簡易水道水を介して感染したことが報告された.さらに1996年6月には埼玉県越生町で町営水道を介したクリプトスポリジウム原虫による大規模な集団下痢症が発生した.詳細な成績はまだ公にされていないが,患者数は8,000人以上と報道され,この年,日本中を震撼させた病原性大腸菌O157による患者数にほぼ匹敵する.一方,海外では1980年代半ばから欧米を中心に毎年のように本原虫の水系感染による集団発症が報告され,最大規模では1993年に40万人以上が発症した米国ミルウォーキー市での報告がある1).
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