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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻6号

1997年06月発行

文献概要

トピックス

腸管凝集付着性大腸菌

著者: 山田景子1 本田武司1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所細菌感染分野

ページ範囲:P.553 - P.554

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はじめに
 ヒトに腸管感染症を引き起こす下痢原性大腸菌(diarrheagenic Escherichia coli)には,現在までのところ毒素原性大腸菌(enterotoxigenic E.coli;ETEC),腸管病原性大腸菌(enteropathogenic E.coli;EPEC),腸管凝集付着性大腸菌(enteroaggregative E.coli;EAggEC),腸管侵入性大腸菌(enteroinvasive E.coli;EIEC),そして世間を騒がせているO157などが含まれる腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E.coli:EHEC)の5つのカテゴリーが知られている.細胞侵入性や毒素産生性に関する研究が早くから行われてきたのに比較して,細胞に対する定着能とその病原性とのかかわりはいまだ解明されていない部分が多いのが実状である.病原性細菌による細菌感染症の第一歩は細菌と宿主細胞の接触であり,宿主の物理的,生理的な排除機構に抗して,付着・滞留・増殖する.この現象を定着あるいは付着と呼び,関与する細菌側の因子を定着(付着あるいは粘着)因子という.定着因子を介して上皮細胞に定着した後,毒素産生性や細胞侵入性などを発揮して感染を引き起こすと考えられており,細胞付着性は病原因子の1つとして認識されてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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