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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻7号

1997年06月発行

文献概要

輸血検査メモ

造血幹細胞移植における残存腫瘍細胞

著者: 正岡徹1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病院

ページ範囲:P.47 - P.47

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 白血病の幹細胞移植後,寛解中の残存腫瘍細胞が検出できれば,これは再発の早期診断の手がかりとなる.これには最近は白血病細胞に特異的な異常遺伝子をpolymerase chain reaction(PCR)で増幅して検出する方法が多く試みられている.特によく行われているのは慢性骨髄性白血病におけるbcr/abl,急性前骨髄球性白血病におけるPML遺伝子などはよく検査されている.杉山らはWT-1遺伝子が多くの血液腫瘍細胞に発現していることを認めた.白血病の化学療法後や幹細胞移植後,完全寛解中にWT-1が陰性化し,これが陽性となってくると白血病再発がみられる例をかなり経験し,これが幹細胞移植後の残存腫瘍細胞の推定に役だつと考え,現在多施設共同の検討が進んでいる.
 これまでの成績では,慢性骨髄性白血病,急性骨髄性白血病,未分化型の急性リンパ性白血病の再発の早期診断に有効ではないかと考えている.非ポジキンリンパ腫などの成熟傾向の著明なBリンパ性腫瘍では,WT-1が発現していない場合もある.このような残存腫瘍細胞量の測定では,同種移植では移植後数か月かかって減少し,陰性化し,しばらくして再増加してきて白血病再発に至ることが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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