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増刊号 輸血検査実践マニュアル 総論 輸血の構成成分とその機能 血漿成分
免疫グロブリン・補体
著者: 椿和央1 金光靖2
所属機関: 1近畿大学医学部第3内科 2近畿大学医学部附属病院輸血部
ページ範囲:P.48 - P.53
文献購入ページに移動免疫グロブリンの構造と特性1)
ヒトは多くの病原微生物の囲まれているが,精密な防御機構によって侵入や増殖を防いでいる.病原微生物がこれらに打ち勝って侵入し増殖した状態が感染であり,それに対する生体側の反応が感染症の状態を引き起こす.感染状態になっても必ずしも感染症に進展するわけではなく,不顕性感染の状態で終了する場合もある.いずれにしても感染後,免疫系が働き,特異的防御機構が働く.抗原提示がされればTリンパ球から感作リンパ球へ,Bリンパ球から抗体が産生される.この液性抗体としての機能を持つ蛋白を免疫グロブリンという.免疫グロブリンの特徴は分子の不均一性であり,数多くの抗原に対するための特異性に多様性がある.さらに1つの抗原に対しても重複して防御するための機能の多様性がある.免疫グロブリンの定義はH鎖(heavy chain)とL鎖(light chain)と呼ばれるポリペプチド鎖が2本ずつ,計4本からなる分子でH鎖とL鎖にはそれぞれV領域(variable region)とC領域(constant region)があり,それらは1つの鎖内S-S結合を含む100アミノ酸の高次構造の単位ドメイン(domein)から構成されていて,その集合として血清抗体の機能を営む.その基本構造を図1に示した.
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