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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻7号

1997年06月発行

文献概要

増刊号 輸血検査実践マニュアル 総論

遺伝学の基礎

著者: 渡辺嘉久1 徳永勝士2

所属機関: 1日本赤十字社中央血液センター研究部研究一課 2東京大学医学部人類遺伝学教室

ページ範囲:P.79 - P.84

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遺伝の基本法則
 われわれヒトを生物の一種としてみれば,他の種との違いは明らかである.また,1人ひとりの個人に注目すれば,それぞれ固有の特徴というものを持っていることがわかる.ヒトを1つの独立した種として存在させているもの,また髪の毛の色や目の色などの個人の形質を決めているもの,そしてそれが次世代に伝わっていくことが遺伝であり,その役割を担っているのが遺伝子である.輸血において最も遺伝子を意識するのが血液型であろう.血液型としてはABO,Rhなどの赤血球型,ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)の代表される白血球型,ヒト血小板抗原(human platelet antigen;HPA)などの血小板型,および顆粒球抗原などの型が知られているが,そのほとんどすべてが遺伝的な支配を受けている.言い換えれば,その型を規定する遺伝子が存在している.
 現在,われわれが知っている遺伝子の概念が確立されたのはメンデルの法則以来である.それまで遺伝とは,液体のようなものが混じり合うものという概念(融合説)が一般的であった.メンデルはエンドウを材料にした一連の実験からいくつかの重要な法則を導き出した.彼はエンドウの種子の形(しわの有無),種子の色,茎のたけなどの7個の形質の違いについて研究した.図1の種子のしわの有無についての交雑実験の一部を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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