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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻7号

1997年06月発行

文献概要

増刊号 輸血検査実践マニュアル 各論 血液型 赤血球

ABO血液型

著者: 渡邊博文1

所属機関: 1徳島大学医学部附属病院輸血部

ページ範囲:P.86 - P.90

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ABO血液型の基礎知識
 Landsteinerによって発見されたABO血液型はMendelの法則に従って遺伝し,その遺伝子座は第9染色体の長腕のあることが知られている.A,BおよびH抗原は糖鎖から成り,図11)の生成過程をとる.ともに共通の前駆物質を持ち,H遺伝子の生成物であるH転移酵素のよりH物質が生成される.このH物質をもとにA遺伝子の生成物(A型転移酵素),B遺伝子の生成物(B型転移酵素)が作用することによりA型,B型となる.抗原数は新生児では成人の約1/3と少なく,幼児期に成人とほぼ同数となる(表1)2,3)
 血清中の抗A抗体および抗B抗体は生下時には母親由来のIgG抗体のみで,自己の抗体は認められない.生後3〜6か月ごろから抗体がつくられ始め,抗体価は5〜10歳ごろピークに達し,加齢とともに少しずつ低下する.抗A抗体および抗B抗体の起源については遺伝説と免疫説(環境説)があり,後者についてSpringerら4,5)による実験がある.すなわち,胎児期には無菌状態にあるが,出生後,消化器系および呼吸器系から生理的に細菌や各種の型物質が入り,それらが刺激となり,抗A抗体,抗B抗体の産生を促すとされている.ABO型物質は血液以外にも各種臓器や分泌液にも存在する.輸血検査に唾液がよく用いられるのは,容易に採取できることと型物質を多量の含むためである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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