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輸血検査メモ
輸血領域におけるDNA検査—ABO型
著者: 岩崎誠1 小林賢2 鈴木洋司1
所属機関: 1防衛医科大学校輸血部 2防衛医科大学校検査部
ページ範囲:P.182 - P.182
文献購入ページに移動ABO血液型を決める遺伝子は抗原の構造そのものを表すものではなく,抗原の生成過程に作用する各糖転移酵素の遺伝子である.近年,A型糖転移酵素遺伝子は7つのエクソンから構成され,354個のアミノ酸をコードする1065塩基からなることが報告され1)(図),A,B型糖転移酸素遺伝子間では7か所に塩基置換がみられ,うち4か所(塩基526,703,796,803)がアミノ酸置換を生じている(以下,順に第一,二,三,四置換点).糖転移酵素活性にとっては第三,四置換点が重要と考えられている.一方,O遺伝子では261番目の塩基が欠失し(以下,欠失部位),糖転移酵素活性を持たない117アミノ酸残基からなる蛋白が翻訳されている.
また亜型にっいては,A2型はA1遺伝子の1059〜1061番目のうちの1塩基が欠失し,A1より長い蛋白に翻訳されるなどいくつかの塩基置換が報告されている2)(図).cisAB型は,第一,二,三置換点はA1遺伝子と,第四置換点はB遺伝子と同じ配列を示している.
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