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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻7号

1997年06月発行

文献概要

増刊号 輸血検査実践マニュアル 各論 輸血臨床

緊急輸血,大量輸血

著者: 小関一英1 青木和夫2 福田聖恵2 谷川等3

所属機関: 1川口市立医療センター救命救急センター 2川口市立医療センター救命救急センター検査科 3川口市立医療センター救命救急センター附属本町診療所検査科

ページ範囲:P.240 - P.247

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はじめに―緊急輸血を要する病態とは
 救急医療体制が整備されると,それ以前には救急現場や搬送中に死亡したと思われる重症患者が瀕死の状態で搬入される機会が増す.病院到着前,すでに大量の失血をきたし,救急室搬入時には重症の出血性ショックに陥っている患者は珍しくない.救命救急センターはこのような極限状態にある患者を的確な緊急処置で救うことを最大の使命にしている.緊急輸血を要し,しかも大量輸血となりやすい病態として頻度が高いのは,①身体の複数部位に損傷がある,いわゆる多発外傷,②出血性胃・十二指腸潰瘍や食道静脈瘤破裂のような消化管出血,③高齢者に多い大動脈瘤破裂,などである.
 急激な出血に対して生体はその恒常性を維持すべく,交感神経系と内分泌系を介して,体液・循環系の強力な代償反応を惹起させる.成人の循環血液量は体重1kg当たり約70mlであり,個人差はあるが,全体としては3,500〜5,000mlである.循環血液量の約15%(成人で約700ml)を超える急性出血をきたすと,皮膚蒼白,冷汗,頻脈など出血性ショックとしての臨床症状が出現する.血液量の30%(約1,400ml)以上を失うと,急速な血圧低下,脈拍微弱,意識混濁をきたし,さらに出血すると代償機能の限界を超え,心筋虚血から心停止へと移行する.輸液ルートを確保し,輸液ラインに接続する前に交差適合試験用の血液を含めて約30ml採血し,大至急で検査室に送る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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