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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻7号

1997年06月発行

文献概要

増刊号 輸血検査実践マニュアル 各論 輸血感染症

HBV

著者: 坂本穣1 武田清1 赤羽賢浩1

所属機関: 1山梨医科大学第1内科

ページ範囲:P.280 - P.284

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 輸血後肝炎ウイルス感染は,第二次世界大戦以降のわが国では流行を極め,血清肝炎の多発を招くこととなった.そのころの輸血後肝炎患者の中に,最近になって肝硬変,肝癌に進展している患者も多い.その後,肝炎ウイルス学の進歩とともに,輸血のスクリーニングにさまざまな手法が取り入られ,1964年,売血から献血への移行,1972年,HBs抗原プレチェック,1989年,HBc抗体検査の追加とHCV抗体検査が行われるに至り,今日の日赤血液センターでスクリーニングされた血液は,肝炎ウイルスの感染性において世界で最も安全となった.しかしながら,B型肝炎ウイルス(HBV)はいまだ輸血後肝炎の原因のひとつであり,スクリーニングを行っているにもかかわらず感染し,しかもその中に劇症肝炎になるものも少なくないことが問題となっている.最近では,遺伝子工学的手法を応用することにより,従来,血清学的見地によりのみ議論されてきたいくつかの問題点は,ウイルス遺伝子の多様性と宿主の免疫応答で説明できることが明らかになってきた.しかし,HBV感染の診断には抗原抗体系による血清学的手法が最も重要であることは現在でも変わりがなく,本稿ではHBVと血清学的診断について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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