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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻8号

1997年07月発行

文献概要

技術講座 生化学

PTHとPTHrPの測定

著者: 佐藤幹二1

所属機関: 1東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科

ページ範囲:P.623 - P.629

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新しい知見
 原発性副甲状腺機能亢進症(PHP)の診断には,血中のカルシウムと生物活性のあるintact PTHを測定すれば十分である.しかし,intact PTHは極めて微量にしか血中に存在しておらず,数年前までは正確に測定できなかった.したがって,やむを得ずpg/mlのオーダーで存在する半減期の長いC-末端部のフラグメントを測定していたものである.特に慢性腎不全患者ではC-末端部のPTHフラグメントは著増しており,透析患者の副甲状腺機能を容易に把握できる.しかし,腎透析中の患者の骨代謝を詳細に検討してみると,透析患者のintact PTH濃度は正常範囲(20〜65pg/ml)よりも2〜4倍ほど高値(150〜250pg/ml)が望ましいことが判明している.したがって,最近では透析医の間でもintact PTHが好んで測定されるようになってきている.
 一方,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の診断は,血中のカルシウム,intact PTH,それにPTHrPを測定すれば大概の場合は診断できる.しかし,悪性腫瘍細胞はPTHrP以外の骨吸収促進因子を産生して高カルシウム血症を惹起することもあるので,病歴や他の臨床検査データも考慮して,慎重に鑑別診断することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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