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文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻8号

1997年07月発行

文献概要

トピックス

心不全における心筋細胞のアポトーシス

著者: 小室一成1

所属機関: 1東京大学医学部第3内科

ページ範囲:P.699 - P.701

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はじめに
 絶えず収縮と弛緩を繰り返している心臓は大変ダイナミックな臓器であり,外的刺激に対して極めて迅速に反応する.心臓は高血圧などの血行力学的負荷に対して,まず機能的に,次に蛋白合成を亢進させ肥大を形成することにより,形態的に適応する1).高血圧や弁膜症患者に認められる肥大は,単位心筋あたりのストレスを軽減させるための巧妙な適応現象といえる.肥大心においては,一般に拡張能こそ障害されるものの,心臓の収縮能は正常に保たれていることが多い.しかし,血行力学的負荷が非常に高度であったり,また長期間続くと,収縮能もしだいに低下し,いわゆる典型的な心不全という病態を呈してくる.この心肥大から心不全に移行する機序については,長い間循環器領域における最も重要な問題の1つである.従来,虚血によるエネルギー源(ATP)の減少,カテコラミン受容体の減少,心筋の収縮・弛緩に重要な役割を果たしている細胞内Ca2+ハンドリングの異常などが考えられていたが,最近,心筋細胞のアポトーシスが心不全の原因になるのではないかと注目されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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