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腸管免疫
著者: 嵐方之1 諏訪高麿1 今井浩三1
所属機関: 1札幌医科大学医学部第1内科
ページ範囲:P.701 - P.703
文献購入ページに移動胃,小腸,大腸などヒトの消化管はテニスコートの約1.5倍という広い表面積を占め,その部位は消化,吸収の場であると同時に,直接外来物質に曝されることから,細菌,ウイルス,有害物質などに対しての最初のバリアーとして機能しなければならない.その1つとして,抗原性物質に対して腸管に特殊化した免疫機構が働いている.これを全身の免疫系と区別して腸管免疫と称している.
この腸管免疫系は全身の免疫系とある程度独立して機能している.その第1の特徴は,抗体である免疫グロブリンのアイソタイプが全身の免疫系ではIgGが主体であるのに対し,消化管では分泌型IgA(secretory IgA;SIgA)が主体となっていることである.これらのSIgAは腸管の粘膜固有層に分布する形質細胞により局所で産生・分泌されている.さらに細胞性免疫の面についてもパイエル板や孤立性リンパ濾胞,腸間膜リンパ節などの腸管付属リンパ組織(gut associated lymphoid tissue;GALT)や粘膜固有層リンパ球(lamina propria lymphocytes;LPL),さらに最近注目されている腸管上皮細胞間リンパ球(intestinal intraepithelial lymphocytes;IEL)もそれぞれ特有の機能を有していると考えられている.
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