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文献概要
フィラデルフィア染色体(Ph1)が慢性白血病(CML)で見いだされたのが1960年(Nowell),それが9-22転座(translocation)であると決定されたのが1970年(Rowley),いまでは学生までがt(9;22)(q34.1;q11,21)であると理解している.すなわち,第9染色体q34.1のc-abl(Abelson murine leukemia virusと類似することから由来した命名)が第22染色体のq12.3-11.3にあるc-sis(simian sarcoma virus由来)と相互置換であり,第22染色体のq11近傍の分裂点bcr(breakage cluster region)にablが結合し,異常なm-RNA産物である210 Kの蛋白が生成され,CMLの病態を生み出していく.他方,c-sisはCMLでの線維化に関係するらしいなどのことが教科書に記載されている.Ph1はバンド染色法でもって第9染色体長腕延長・第22染色体長腕短縮でもって容易に判定しうるものの,この染色体分析法もうまく分裂像が得られるとは限らない.また,この染色体異常がabl/bcrであるとの保証はない.このことから,この証明に用いられるのがFISH(fluorescence in situ hybridization)法である.
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