icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術25巻9号

1997年08月発行

文献概要

検査報告書の書きかた 内分泌検査・1

甲状腺機能異常の検査

著者: 小林功1

所属機関: 1群馬大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.773 - P.778

文献購入ページに移動
甲状腺機能異常とは
 甲状腺機能異常を示す病態は,甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の2種類に大別される.一般に甲状腺機能異常は特有の臨床症状を参考にして,血中甲状腺ホルモン(T4,T3)と下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH)との組み合わせ検査によって診断される1).甲状腺ホルモンとTSHとの関係は,いわゆるnegative feedback機構を考えると,理解しやすい(図1).この生体機構の特徴は,下位ホルモン(T4,T3)の増減によって,上位ホルモン(TSH)の分泌が調節されていることである.例えば,橋本病(慢性甲状腺炎)により甲状腺機能低下症に陥った症例では,甲状腺におけるホルモンの合成・分泌が障害されて,血中甲状腺ホルモン濃度は減少するため,下垂体からのTSH分泌は増加する.一方,バセドウ病による甲状腺機能亢進症では,血中に存在する刺激抗体(TSHレセプター抗体)により,甲状腺におけるホルモンの合成・分泌が促進し,血中甲状腺ホルモン濃度は増加するため,下垂体からのTSH分泌は抑制される.こうした関係を念頭に置けば,甲状腺機能異常の病態の把握は容易になると思われる1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら