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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻1号

1998年01月発行

文献概要

トピックス

脳手術後の脳血管攣縮

著者: 渋谷肇1 林成之1

所属機関: 1日本大学医学部救急医学

ページ範囲:P.83 - P.86

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はじめに
 脳血管は通常,髄液で満たされたクモ膜下腔にあるが,脳動脈瘤破裂などでクモ膜下腔に大量の血液が流入した場合,3〜14日で脳血管攣縮が発生する.脳血管攣縮は脳血管撮影上,血管径の狭小化として認められ,脳循環時間の遅延もみられるが,可逆性の変化で,数日から1,2週間の時間経過とともに血管径,脳循環時間も正常に戻ることが多い.脳血管攣縮が発生すると,その血管の支配領域に脳虚血症状がみられるが,その程度は無症候性のものから非可逆性の脳梗塞に陥るものまであり,特にクモ膜下出血術後の予後を決定する重要な因子となっている.脳血管攣縮の発生頻度は,一般的に出血量の多い重症例に多く,約50〜70%といわれ,そのうち重症化するものが約30%程度みられる.現在でも脳血管攣縮の発生原因はわかっておらず,根本的な治療法は確立されていないため,予防法として早期のクモ膜下腔血腫除去や,大量補液によって循環血液量を増加させる対症療法が行われている.重度の脳血管攣縮が起こってしまった場合,攣縮血管に対する唯一直接的な治療法は,脳血管内手術による経皮的血管形成術や超選択的な血管拡張薬の動脈内注入である.
 本稿ではクモ膜下出血術後の脳血管攣縮について,検査法,治療法の要点を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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