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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻1号

1998年01月発行

文献概要

トピックス

喘息死

著者: 冨田尚吾1 秋山一男1

所属機関: 1国立相模原病院臨床研究部

ページ範囲:P.88 - P.90

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はじめに
 近年,喘息患者数は年々増加しており,小児のみならず成人領域でも問題となってきている.現在,児童の有病率は5〜6%,成人では約3%という数字である.実際の数値に直すと,成人で300万人,小児で100万人ぐらいの患者がいる.このような有病率の増加以外に,さらに大きな問題として,喘息死という問題がある.厚生省の統計によると,わが国の喘息死亡率は40〜50年前よりかなり低下し,1980年代に入り安定してきており,ここ十数年では年間全人口10万人当たり約5人程度の死亡率を認めている(図1).この数字は欧米の人口10万人当たり2人前後の死亡率と比較すると,まだまだ高いと考えられる.1989年度の厚生省成人喘息実態調査では,成人気管支喘息患者における年間の喘息発作死亡率は約0.3%,すなわち1,000人に3人が発作で死亡している1).実数での喘息死は毎年約6,000人(図2)といわれており,この数字は,例えば子宮癌,乳癌,白血病で亡くなる方よりも多い数字で,必ずしも低いとはいえない.さらに問題なのは,5〜34歳までの若年層での喘息死が最近増加しつつあることである(図3)2).なぜ喘息死は減らないのか,喘息死を減らすにはどうすればよいか,わが国の喘息死の現状をもとに考えてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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