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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻10号

1998年09月発行

文献概要

技術講座 血液

プロテインCおよびプロテインS

著者: 西岡淳二1 登勉2 鈴木宏治3

所属機関: 1三重大学医学部附属病院検査部 2三重大学医学部臨床検査医学講座 3三重大学医学部分子病態学講座

ページ範囲:P.851 - P.857

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新しい知見
 プロテインC凝固制御系は,プロテインC,プロテインS,プロテインCインヒビターおよびトロンボモジュリンの発見以来,生理的に重要な血液凝固制御系であることが明らかにされるとともに,それらの先天性異常症が血管内凝固制御系の破綻をきたし,多くの症例で血栓症を発症することから,臨床的にも重要であることが実証されてきた.さらに,近年,欧米で新しいプロテインC凝固制御系の異常症(APC-レジスタンス)が発見され,V因子の分子異常症(Arg506→Gln)であることが明らかになった.この異常症は欧米白人に極めて多く,静脈性血栓症患者全体の15〜20%,患者の家族,親戚に血栓症患者がいる場合には約50%,健常人でも2〜4%は本疾患の素因を有すると報告されている.わが国においてもこの異常症の存在が検討されたが,日本人には認められていない.
 一方,最近,血管内皮細胞上に新しい細胞膜結合型プロテインCレセプター(EPCR)が発見された.EPCRは血管内皮細胞に特異的に発現され,特にプロテインC凝固制御系が有効に機能していないと考えられてきた大血管において顕著に発現され,トロンビン・トロンボモジュリン複合体によるプロテインCの活性化反応を促進する分子であることが明らかになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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