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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻10号

1998年09月発行

文献概要

検査データを考える

クレアチニンクリアランス

著者: 堀尾勝1 福永惠1 折田義正1

所属機関: 1大阪大学医学部病態生体情報学

ページ範囲:P.887 - P.891

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はじめに
 糸球体濾過量(glomerular filtration rate;GFR)は腎不全の程度および進行速度を評価するうえで臨床的に重要な指標である.GFR測定は,糸球体で自由に濾過され,尿細管で代謝・輸送を受けない物質のクリアランスとして測定される.イヌリン(分子量5,200)はこの条件を満たしており,国際的にもイヌリンクリアランス(Cin)がGFR測定の原法である.しかし,イヌリンはわが国では検査試薬としてヒトへの使用が認可されておらず,測定法も煩雑で日常検査法としては普及していない.臨床的には内因性クリアチニンクリアランス(Ccr)が簡便なGFR測定法として広く利用されている.Ccrの検査値を読むということは,GFRをどう評価するのかということと同義である.しかし,クレアチニンは理想的なGFR物質ではなく,Ccr測定はクレアチニン測定法,蓄尿法に伴う誤差を含んでいる.このため,CcrがGFRに一致しないこともまれではない.Ccrの限界を知ったうえでGFRを評価することが重要と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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