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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻11号

1998年10月発行

文献概要

けんさアラカルト

質量分析による臨床検査

著者: 清水章1

所属機関: 1大阪医科大学病態検査学

ページ範囲:P.984 - P.985

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 質量分析(mass spectrometry;MS)は病気の診断に大きく寄与している.これまで,MSはガスクロマトグラフィー(GC)と接続し,多くの代謝物の測定に使われてきた.なかでも有機酸代謝異常症の研究と診療に果たした役割が大きい.GC-MS分析では分子を誘導体化し低沸点化合物にして測定するので,分析対象となる物質は限られていた.しかし,1990年ごろから分子を壊さないソフトイオン化MS法が普及し始め,分析対象となる分子の範囲が広がった.ソフトイオン化MS法の中で,エレクトロスプレーイオン化MS法(ESIMS)が最も汎用されている.
 ESIMSでは難揮発性分子を測定することができ,HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の溶出液中の物質を分析するのにも適している.ESIMSによると,蛋白質分子中の数か所が荷電されて,複数の多価イオンが質量数/電荷として測定され,低質量域で精度の高い分析がなされる.また,HPLCをタンデムMS(MS/MS)に接続し,フラグメントイオンを分析することにより,ペプチド混合物のままで短時間にアミノ酸置換を明らかにすることができる.通常,約10pmolで明瞭なスペクトルが得られ,さらに,キャピラリーカラム先端にポリマー系あるいはシリカ系逆相樹脂を充填し,カラムを分析系に直結させ感度を上げると,10-15〜10-18mol量での分析が可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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