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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻11号

1998年10月発行

文献概要

検査データを考える

中性脂肪高値例

著者: 藤巻祐子1 寺本民生1

所属機関: 1帝京大学医学部内科

ページ範囲:P.991 - P.996

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はじめに
 血清脂質は主としてコレステロール,中性脂肪,リン脂質,遊離脂肪酸の4種類からなる.このうち,コレステロールエステルや中性脂肪は疎水性が強く血漿中に溶存できないため,リポ蛋白という安定した形を形成する.リポ蛋白は中心部にコレステロールエステルや中性脂肪を有し,表面に両親媒性脂質(遊離型コレステロール,リン脂質)とともにアポ蛋白を配置することにより,血漿中に安定した形で存在する.したがって,リポ蛋白はあらゆる脂質を有することとなる.リポ蛋白は含有する脂質の割合によって密度が異なり,この性質を利用して超遠心分離することで,カイロミクロン,超低比重リポ蛋白(very low densitylipoprotein;VLDL),中間比重リポ蛋白(レムナント,intermediate density lipoprotein;IDL),低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL),高比重リポ蛋白(high density lipoprotein;HDL)の5種類に分けることができる.
 本稿では,特に中性脂肪が高値を示す場合を論ずるが,中性脂肪を主とするリポ蛋白はカイロミクロン,VLDLおよびレムナントである.したがって,ここではこれらのリポ蛋白の代謝異常を星する疾患群を扱うことにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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