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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻11号

1998年10月発行

文献概要

トピックス

オルニチン脱炭酸酵素(ODC)とヒトがん

著者: 前川真人1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.1007 - P.1008

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 オルニチン脱炭酸酵素(ornithine decarboxylase;ODC)は図1のようにポリアミン生合成の第1段階であるオルニチンからプトレッシンへの変換を触媒する酵素である.プトレッシン,スペルミジン,スペルミンはポリアミンと呼ばれ,細胞の増殖と分化に必須であるが,一方毒性も高いことから,ポリアミンの生合成・分解に重要な役割を持つ酵素はいずれも代謝回転が速く,複雑な調節を受けている.ODCも反応生成物であるポリアミンによって負の調節を受けている.実際には,アンチザイムやアンチザイムインヒビターなどの存在が知られており,ODCレベルはかなり複雑に,かつ微妙に調整されている1)
 さて,ODCは上記のポリアミン合成に重要な酵素であることから,細胞増殖の生物学的マーカーと認識されており,1つのがん関連遺伝子といえる2).動物実験ではODC活性はがん化の引き金になるとともに腫瘍の進展の初期の段階に関与していることが示されている.また,臨床のヒトがん組織(乳がん,肝細胞がん,胃がん,大腸がんなど)においてODC活性の上昇が観察されている.これらの所見はODCの活性および蛋白量の増加から調べられてきた.また,がん組織におけるポリアミンの定量も行われ,正常組織に比べての増量が観察されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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