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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻2号

1998年02月発行

文献概要

検査データを考える

多発性骨髄腫

著者: 新倉春男1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院内科血液

ページ範囲:P.161 - P.165

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はじめに
 骨髄腫は,Bリンパ球の最終分化段階と考えられる形質細胞が主に骨髄内で腫瘍性に増殖する疾患であり,腫瘍性形質細胞(骨髄腫細胞)が単クローン性の免疫グロブリン全分子あるいはその一部である軽(light;L)鎖を産生することにより,血中あるいは尿中に単クローン性蛋白(M蛋白)の出現をみるのが特徴である.M蛋白の型により,IgG型,IgA型,IgD型,IgE型,ベンスジョーンズ蛋白(Bence Jonesprotein;BJP)型の5型に基本的に分類され,さらにL鎖の型によりκ(カッパ)型とλ(ラムダ)型に分けられる.L鎖のみ(BJP)が出現するのがBJP型である.IgG型,IgA型,IgD型,IgE型の4型ではBJPを伴うものと伴わないものがある.IgM型M蛋白を産生する腫瘍性疾患は原発性マクログロブリン血症と呼ばれ,別疾患として扱われることが多いが,同じB細胞系腫瘍で極めて近縁の疾患であり,時に形態学的には形質細胞といわざるをえない腫瘍細胞の増殖を示す症例があり,IgM型骨髄腫と呼ばれることもある.そのほか類縁疾患として,免疫グロブリンの重(heavy;H)鎖のみが産生されるH鎖病,従来,良性(あるいは本態性)M蛋白血症と呼ばれ,現在MGUS(monoclonal gammopathy of undeterminedsignificance,意義不明のM蛋白血症)と呼ばれる病態がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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