icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻3号

1998年03月発行

文献概要

トピックス

エンテロトキシン産生Bacteroides fragilis

著者: 加藤直樹1

所属機関: 1岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設

ページ範囲:P.249 - P.251

文献購入ページに移動
はじめに
 Bacteroides fragilisは嫌気性のグラム陰性桿菌で,多くのヒトにおいて腸内常在菌として生息し,また好気性菌であるEscherichia coliより100〜1,000倍多い菌数で存在する腸内フローラの最優勢菌の1つとして挙げられる.通常はこのように腸内フローラとしてB. fragilisは存在し,感染症は引き起こさないが,ときになんらかの原因により腸管外に侵入し,腹腔内膿瘍,膿胸,敗血症などの感染症を引き起こす.
 一方,E. coliの仲間には種々の下痢原性毒素を産生し,下痢症を引き起こす菌病原大腸菌が存在するが,B. fragilisではエンテロトキシン(腸管毒)を産生し,下痢を引き起こす菌株は知られていなかった.しかし,1984年,米国のMyersら1)が,子ヒツジや子ウシなどの家畜の下痢症からエンテロトキシン産生性B. fragilis(enterotoxigenic B. fragilis;ETBF)を分離して以来,B. fragilisの伸間にもエンテロトキシンを産生し,下痢症を引き起こす菌株のあることがわかってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?