検査と技術26巻4号

1998年04月発行

技術講座 病理

Helicobacter pyloriの組織診断法

著者： 石田正実¹ 平林かおる¹ 藤盛孝博¹

所属機関： ¹獨協医科大学第2病理

ページ範囲：P.355 - P.360

文献概要

新しい知見
　McMullenらは，カルボールフクシンとマラカイトグリーンとの重染色を繰り返すことによりHelicobacter pylori（H. pylori）を染色できることを報告した．これらの染色液の濃度を変え，重染色を繰り返すことなしに1回のカルボールフクシンとマラカイトグリーンとの重染で，より感度の高い染色法としてMcMullen変法が考案されている．この方法では，従来のMcMullenらの方法に比べて，H. pyloriは深紅に染色され，組織はライトグリーンに染色されるため，組織のコントラストが高く，少量のH. pyloriの菌体でも認識しやすく，H. pyloriの形態的特徴であるらせん構造も明瞭である．一般的に潰瘍形成部では二次的にH. pylori以外の細菌感染が認められることがあるが，らせん構造と胃粘液の組織所見より鑑別は可能である．