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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻4号

1998年04月発行

文献概要

トピックス

髄液中アミロイドβ蛋白

著者: 石井一弘1 森啓1

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所分子生物学部門

ページ範囲:P.389 - P.391

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はじめに
 アミロイドβ蛋白(amyloid β protein;Aβ)はアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)の脳皮質に出現する老人斑(シミのような沈着物)の主要な構成成分であり,病因蛋白の1つである.老人斑は正常老人の脳にも少数ではあるが認められるが,ADでは多量の老人斑が生じる.また,Aβは39〜43アミノ酸残基からなる分子量約4kDaのペプチドであり,神経細胞で作られ,細胞外に分泌される.老人斑は分泌されたAβが不溶化し,線維化した後に形成されると考えられる.老人斑を含む脳内Aβの一部は髄膜を通り,血中Aβは血液-脳関門を経て髄液中に分泌され,髄液中Aβとして検出されると推定されているが,髄液中Aβの詳細な由来はまったく明らかになっていない.
 しかし,いまだに確定的な生化学的診断マーカーがないADにおいて,アミロイド原因説に沿って髄液中Aβ量を測定し,AD診断マーカーの可能性を追求するのは当然の流れであると思われる.本稿では最近の報告を中心に髄液中Aβ測定の有用性を述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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