文献詳細
文献概要
病気のはなし
溶血性尿毒症症候群
著者: 垣下榮三1
所属機関: 1兵庫医科大学第2内科
ページ範囲:P.412 - P.419
文献購入ページに移動新しい知見
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は病態的には類似性があり,血栓性微小血管症(TMA)と一括されることが多いが,その原因は多様で,しかも本来の病因そのものは現在なお不明である.しかし,原因のいかんにかかわらず,血漿交換療法の有効性については共通していた.その中でHUSの典型であるベロ毒素(VT)あるいは志賀毒素(Stx)によるものは病原性がかなり詳細に判明してきたが,治療的には他のものと異なり,TMAではあっても下痢の先行するHUS(D+HUS)として区別する必要がある.しかし,血管内皮細胞障害に関係する要因,内皮細胞障害の指標などが最近測定可能となっており,これらの共通する部分の利用は,D+HUSと他のものとの違いを明確にしながらTMA全体の病態を解明するうえで役だてられるものと考えられる.
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は病態的には類似性があり,血栓性微小血管症(TMA)と一括されることが多いが,その原因は多様で,しかも本来の病因そのものは現在なお不明である.しかし,原因のいかんにかかわらず,血漿交換療法の有効性については共通していた.その中でHUSの典型であるベロ毒素(VT)あるいは志賀毒素(Stx)によるものは病原性がかなり詳細に判明してきたが,治療的には他のものと異なり,TMAではあっても下痢の先行するHUS(D+HUS)として区別する必要がある.しかし,血管内皮細胞障害に関係する要因,内皮細胞障害の指標などが最近測定可能となっており,これらの共通する部分の利用は,D+HUSと他のものとの違いを明確にしながらTMA全体の病態を解明するうえで役だてられるものと考えられる.
掲載誌情報