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MAGE遺伝子
著者: 田原光一郎1 森正樹1
所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所腫瘍外科学教室
ページ範囲:P.487 - P.489
文献購入ページに移動ヒト癌に対し腫瘍特異的免疫が存在するのかどうかについては長い間議論があったが,1991年,Boomらにより初めてヒトのメラノーマ細胞から宿主T細胞の標的分子となる抗原,すなわち腫瘍拒絶抗原が分離され,melanoma antigen(MAGE)と名づけられた.その後,細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte;CTL)に認識される腫瘍拒絶抗原をコードする遺伝子は,MAGE遺伝子みならず,数多くのものが明らかにされてきたが,それらは大きく4つに分類される.
1つは,腫瘍特異抗原であるMAGE,BAGE,GAGE,NA17-Aなどで,各種の悪性腫瘍にその発現が認められ,精巣以外の正常組織には発現の認められない抗原である.2つめは,メラノサイト分化抗原と呼ばれるもので,正常メラノサイトおよびメラノーマに共通な組織特異的分化抗原で,正常メラノサイトが腫瘍化するにつれ,その発現量が増加し,CTLに認識されるとされており,tyrosinase, melanomaantigen recognized by T cell 1(MART-1)/Melan-A, glycoproten(gp)100, gp75などがある.
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