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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻7号

1998年06月発行

文献概要

増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル 第I章 病理学総論

2.循環器

著者: 池田善彦1 由谷親夫2

所属機関: 1国立循環器病センター臨床検査部病理 2国立循環器病センター臨床検査部

ページ範囲:P.18 - P.24

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心臓の構造と機能
 肉眼的には,胸骨と両側肋軟骨を切り取って胸郭前面を開くと,前部縦隔が見える.上部1/3は大動脈,肺動脈幹,下部2/3は心包内の大血管基部と心臓よりなる.心臓は内腔側より心内膜,固有筋層,心膜に分けられるが,心膜は心外膜が折り返し線で反転して形成されており,さらに臓側と壁側とに分けられ,中に数mlの漿液を含む.取り出した心臓の前面(図1-a)と後面(図1-b)を示すが,死後硬直により,心臓の収縮期の形で再現される.日本人正常心重量は250〜300gといわれている.前面では上方の左前から肺動脈幹が,右後から大動脈が出る.後面では心房が大きな比率を占め,右房には上下大静脈が,左房には上下左右4本の肺静脈が流入する.左右の心房心室はそれぞれ心房中隔,心室中隔により隔てられ,また,心房と心室との間には房室弁(左心系:僧帽弁,右心系:三尖弁)が,心室と大血管との間には半月弁(左心系:大動脈弁,右心系:肺動脈弁)が介在し,血液の逆流を防ぐ.房室弁は多数の腱索によって乳頭筋または中隔面に結合する.左右の冠状動脈は,大動脈弁の裏側より起始し,左はさらに前下行枝と回旋枝に分かれる.
 顕微鏡的には,心筋細胞は太さ10〜20μm,長さ80〜100μmで,介在板により相接し,網目状配列を呈する.核はほぼ中央に位置し,心筋線維の走行は通常一方向性である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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