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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻7号

1998年06月発行

文献概要

増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル 第I章 病理学総論

4.呼吸器

著者: 岡輝明1

所属機関: 1東京大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.35 - P.42

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呼吸器の構造と機能
 呼吸器系は,空気の通る導管である気道とガス交換を主たる機能とする肺からなる(図1).導管部分は,鼻腔から咽頭・喉頭を経て気管・気管支である.気道の最も重要な機能は空気が通ることであり,したがって,その内腔は常に開いていなければならない.内腔が狭窄したり閉塞する状態はすべて病的である(気管・気管支異物や気管支喘息など).内腔がつぶれないようにするために,気道系はさまざまな構造上の特徴を備えている.例えば,鼻腔・副鼻腔は骨に囲まれており,また,気管・気管支の壁には軟骨があるため内腔がつぶれにくい.組織学的には,喉頭の一部(声帯,喉頭蓋)が重層扁平上皮に覆われている点を除き,気道は線毛上皮に覆われていることが特徴であり,この線毛は異物排除の機能を担う.気管支は2分岐を繰り返して細くなり,しだいに壁の軟骨がなくなり平滑筋のみとなる.さらに分岐して,直径1mm程度にまでになると細気管支と呼ばれ,その壁に肺胞が付属するようになると呼吸細気管支である.ここまでくると,気道は空気が通るただの管ではなく,ガス交換の機能をも併せ持つようになるため,この部分は気道部と呼吸部の移行部という意味から移行帯ないし中間帯と呼ばれ,これより末梢にはブドウの房状の肺胞が連なる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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