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文献詳細

雑誌文献

検査と技術26巻7号

1998年06月発行

文献概要

増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル 第I章 病理学総論

10.乳腺・皮膚

著者: 原田美貴1

所属機関: 1関東逓信病院病理診断科

ページ範囲:P.79 - P.84

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乳腺
 1.正常組織(図1)
 思春期までの乳腺には,乳頭部に乳管が認められるのみで小葉の発達はない.思春期になり,乳房が発達するのも脂肪織の増加によるもので,妊娠しない限りこの状態が続く.妊娠すると上皮細胞索が伸長し,枝分かれを繰り返して多数の腺小葉を作り,分泌部(腺房)を作る.1つの小葉は,周囲の乳腺間質に比較して,少量のリンパ球,組織球および形質細胞の浸潤を伴い,毛細血管がよく発達した疎な結合織によって囲まれる.腺房は好酸球の単層立方上皮によって内張りされ,外側に淡明な筋上皮細胞を有する.乳管も二層性(2列という意味.癌の際に“にそうせいの消失”という場合は,2種類の細胞という意味で“二相性”と表現される)が認められ,小葉内の細乳管(ductule)から小葉外の乳管(duct)に流れ込み,多数結合して乳頭には15〜20の乳管が開口する.小葉外の導管(乳管)上皮から発生するのが乳管癌で,小葉内の細乳管上皮から発生するのが小葉癌である.乳房はCooper(クーパー:イギリスの外科医)靱帯と呼ばれる厚い結合織によって吊り上げられている.女性の乳房が大きく重そうでも,形よくピンと上を向いているのもこの靱帯のおかげである.加齢すればこの靱帯の弾性が低下するため乳房も下垂する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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