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病理検査こぼれ話
コンピュータ化
著者: 小西登1
所属機関: 1奈良県立医科大学第2病理学講座
ページ範囲:P.84 - P.84
文献購入ページに移動一昔前,オートメーション化という言葉がはやり,日本の高度成長期時代の初期を支えたことは記憶に新しい.しかし,今やすべてがコンピュータ化し,医療の現場にも目新しい機器が続々と導入されている.検査機器も同様で,便利であることに異論はないものの,その結果については最後に人間が判断するものと信じている.しかし,現代ではそのような信念も妄想に近いものと考えなければならない.例えば細胞診の分野において,全自動子宮頸癌スクリーニングシステムが開発された.聞くところによると,スクリーナーがチェックするよりも早く,しかもより正確に処理するらしい.機械だから文句も言わずに24時間働く.これで精度がヒトより高いとなれば,検査技師が一生懸命勉強し,身につけたスクリーニングの知識と技術はいったい何なのだろうか? 今のところ,このシステムは精度管理のために一部で使用されているにすぎないが,医療費の抑制や検体の増加とともに今後は普及する可能性が高い.そうなるとスクリーナーを含めた検査技師の仕事は機械に検体をセッティングするしかないのだろうか?
そうは思いたくない.確かに機械というものはある条件下では正確で,ヒトの見落としそうなところをカバーする.しかしそれはあくまである条件下のもとであって,少し具合いが悪くなると,とんでもない結果を出しがちである。このような状況下において,検査技師の知識と技術が判断能力というかたちで問われるのである.
そうは思いたくない.確かに機械というものはある条件下では正確で,ヒトの見落としそうなところをカバーする.しかしそれはあくまである条件下のもとであって,少し具合いが悪くなると,とんでもない結果を出しがちである。このような状況下において,検査技師の知識と技術が判断能力というかたちで問われるのである.
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