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日常染色法ガイダンス 中枢神経系の日常染色法—神経細胞の染色法
ニッスル染色
著者: 阿部寛1 園上浩司1 水谷喜彦1 須田耕一1
所属機関: 1順天堂大学医学部病理学第1講座
ページ範囲:P.785 - P.787
文献購入ページに移動中枢神経系の主たる細胞は神経細胞で,大きさと形は多種多様である.神経細胞の突起には樹状突起と軸索突起の2種類がある.神経細胞の細胞質と樹状突起では,塩基性タール色素で多くのニッスル物質が染め出される.このニッスル物質は電顕的には多くのリボソームを伴った粗面小胞体の集合体であり,化学的にはリボ核蛋白質(ribonucleoprotein)である.ニッスル染色は神経細胞の核や病変で変化するニッスル物質を塩基性タール色素(クレシル紫,トルイジン青,メチレン青など)で特異的に染め出すのが目的であり,神経病理学では基本的な染色法の1つである.最近では髄鞘をルクソール・ファースト青で,神経細胞のニッスル物質をクレシル紫で同時に染め出すクリューバー・バレラ染色に代用される傾向にある.
本稿では,ホルマリン固定,パラフィン切片で一般的に行われるクレシル紫染色液によるニッスル染色について述べる.
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