icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術27巻10号

1999年09月発行

文献概要

トピックス

デング熱,デング出血熱の実験室内診断—ウイルス遺伝子検査を中心に

著者: 福永利彦1 只野昌之1

所属機関: 1琉球大学医学部ウイルス学教室

ページ範囲:P.1239 - P.1244

文献購入ページに移動
はじめに
 デング熱およびデング出血熱(Dengue fever/Dengue hemorrhagic fever;DF/DHF)は東南アジア,アフリカ,中南米,および南太平洋地域における公衆衛生上重要な熱帯病である.かつてはわが国でも本症の流行が見られたが,現在は輸入感染症に限られる.起因病原体は4つの血清型からなるデングウイルスで,フラビウイルス科に属する.また,本ウイルスは主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)という熱帯に広く生息する蚊によって媒介される.このことから,節足動物媒介性ウイルス(Arbovirus)にも分類されている.自然界における本ウイルスの生活環はヒト-カ-ヒトのサイクルで伝播するが,ヒト以外の哺乳類にはほとんど感染しないと考えられている.したがって,人口密度が高く,媒介蚊が発生しやすい衛生環境の悪い地域が本症の流行地になりやすい.本症に対するワクチンは開発途上にあり,予防法は蚊に刺されないようにするなどの消極的な方法のみである.
 本症の実験室内診断法は大きく分けて,抗体の測定とウイルス分離およびウイルス遺伝子の検出によって行われる.抗体の測定としては補体結合(complement fixation;CF)試験,赤血球凝集抑制(hamagglutination inhibition;HI)試験が古くから用いられている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?