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文献詳細

雑誌文献

検査と技術27巻11号

1999年10月発行

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トピックス

高ホモシステイン血症

著者: 板倉弘重1

所属機関: 1国立健康・栄養研究所

ページ範囲:P.1349 - P.1352

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はじめに
 動脈硬化の危険因子として高ホモシステイン血症が注目されるようになってきた.ホモシステインの血中濃度の増加はホモシスチン尿症として1962年ごろから記載されていたが,見逃されていた症例が多いとみなされるようになってきた1).Marfan症候群様体型,骨粗鬆症などの骨格異常,水晶体脱臼による近視,中枢神経障害に血栓形成による諸臓器障害をきたす疾患として知られている.
 本症は含硫アミノ酸の一種であるホモシステインをシスタチオニンに変換するシスタチオニンβ-シンターゼの欠損による常染色体劣性遺伝疾患で,889,000人に1例の頻度で発見されるまれな疾患とされていた.血中ホモシステイン濃度の測定が困難であったことから,主要な臨床症状である近視の段階で気付かれず,最終的に冠動脈疾患や脳血管障害の発症まで引き起こす例が多いとされる.ホモシステインの血中濃度が測定されるようになり,慢性疾患発症率との関連が研究された結果,高ホモシステイン血症が心筋梗塞,脳梗塞,深部静脈血栓症などの危険因子であることが報告されるようになった.ホモシステイン代謝に関係する酵素遺伝子変異の研究も進められ,日本人においても,高ホモシステイン血症はまれな病態ではないとされる.また,高ホモシステイン血症からの動脈硬化予防に,葉酸,ビタミンB6,あるいはB12の投与について検討が進められている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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