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文献詳細

雑誌文献

検査と技術27巻4号

1999年04月発行

文献概要

技術講座 微生物

腸球菌の同定法

著者: 大野章1

所属機関: 1東邦大学医学部微生物学教室

ページ範囲:P.337 - P.342

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新しい知見
 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の出現と動物飼 料薬との関係
 最近,グリコペプチド系に属する家畜成長促進剤アボパルシンの長期にわたる使用がVREの出現に関係しているのではないかとの指摘が相次いでいる.その証拠として,ヨーロッパを中心にvanA遺伝子保有VREが家畜家禽の糞便から多数分離されている.そして一方で,下水などの環境からもVanAタイプVREが検出されている.
 これらの事実は,環境から家畜家禽類の腸管内に一過性に定着したvanA保有VREが,飼料中に含まれるアボパルシンによって選択増殖し糞便内に排泄され,さらにこれが環境を汚染するサイクルが成立していることを示唆している.また食肉からもVREが分離されており,VRE汚染食肉を介して再びヒトの腸管内に定着する食物連鎖の可能性も考えられている.このためヨーロッパでは一部の国でアボパルシンの使用は禁止,または制限されており,日本でも最近アボパルシンの使用が禁止されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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