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NKT細胞
著者: 宮路智香子1 安保徹1
所属機関: 1新潟大学医学部医動物学教室
ページ範囲:P.406 - P.409
文献購入ページに移動リンパ球にはT細胞,B細胞,そしてナチュラルキラー(natural killer;NK)細胞というそれぞれに異なった機能を持つ3種類の細胞系列がある.ところが最近,NK細胞の抗原レセプターの1つであるNK1.1抗原を持つユニークなT細胞,すなわちNKT細胞の存在が明らかになってきた.NKT細胞は各リンパ組織にも少数存在するが,肝臓に最も多く,T細胞抗原レセプター(T cell receptor;TCR)Vα14など,非常に偏ったTCRレパートリーを発現し,機能的にもインターロイキン(interleukin;IL)-4やインターフェロン(interferon;IFN)-γを多量に産生することなどから,胸腺で分化,成熟する通常のT細胞とは異なり,胸腺外で分化する可能性が示唆されている1).一方,肝臓には胸腺由来のT細胞のほかに,CD3(αβ-TCR)の発現量が中等度(intermediate)で,NK細胞のマーカーでもあるIL-2レセプター(interleukin-2 receptor;IL-2 R)β鎖を常時発現している独自の細胞,intermediate TCR(int TCR)細胞が存在する2).これは胸腺を先天的に欠損したヌードマウスにも見られることなどから,胸腺外分化T細胞の1つであるといわれる.
そこで,本稿ではNKT細胞とint TCR細胞の特徴および種々の疾患との関連性について紹介する.
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