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病気のはなし
全身性強皮症
著者: 無量井泰1 佐々木毅2
所属機関: 1国民健康保険川崎病院内科 2東北大学医学部免疫・血液病制御学
ページ範囲:P.524 - P.532
文献購入ページに移動全身性強皮症は古くから膠原病や全身性自己免疫疾患の1つとして知られている.事実,ほかの疾患に認められない自己抗体(抗Scl-70抗体,抗セントロメア抗体)が検出される.そこで病因・病態解明のため,これらの自己抗体の存在意義が追究されている.抗Scl-70抗体の抗原は核蛋白であるDNAトポイソメラーゼIで,これはDNAの超らせん構造をときほぐす酵素である.このDNAトポイソメラーゼIがネコレトロウイルスやサイトメガロウイルスと共通構造を有することが明らかとなり,これらのウイルスに対する交差反応性により抗Scl-70抗体が出現する機序が推察された.しかし,これらのウイルスが全身性強皮症の病因となるのか,これらの自己抗体が病状にどのように関係するのかは,まだ明らかではない.
近年,男児を出産した女性の全身性強皮症患者皮膚や末梢血よりY染色体DNAが検出された.慢性移植片対宿主病の皮膚病変が全身性強皮症と類似していることが知られており,胎児由来の細胞が母親に移行し,疾患を引き起こす可能性が示唆されている.しかし,男性や妊娠歴のない女性の患者も存在する.強皮症の病因追究は続いている.
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