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文献概要
増刊号 緊急検査実践マニュアル 総論 5.バイオハザードの対策
2)医療廃棄物の処理
著者: 箱守春樹1 奥住捷子2
所属機関: 1東京大学医学部附属病院事務部 2東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.670 - P.672
文献購入ページに移動医療関係施設から排出される廃棄物は,他の業界の廃棄物に比較して,形状はもとより内容も多種多様であり,感染性のある病原体が含まれるおそれがあるため,医療廃棄物といわれる.医療施設内廃棄物は,非医療廃棄物のほかに医療行為に伴ういわゆる医療廃棄物,特に感染性廃棄物が含まれる点で異なる.感染性廃棄物とは,“医療機関等から発生し,ヒトが感染し,または感染するおそれのある病原体が含まれ,もしくは付着している廃棄物またはこれらの恐れのある廃棄物”と定義されている.これらの取扱いは,院内感染防止の観点からも重要であり,とりわけ医療廃棄物のうち感染症を生ずるおそれのある感染性廃棄物の取扱いは,針刺し事故などをも引き起こすため注意を要する.厚生省は平成元年(1989年)11月に「医療廃棄物処理ガイドライン」1)を示し,翌年4月から感染性廃棄物の処理について指導を開始した.この感染性廃棄物は「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」2)に従って適正に処理を行わなければならず,違反した場合には罰則の対象となる.
医療機関においては,特別管理産業廃棄物管理責任者を置いて,感染性廃棄物の取扱いの管理体制を整備することが義務づけられている.
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