icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術27巻8号

1999年07月発行

トピックス

低分子ヘパリン

著者: 櫻川信男1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.1053 - P.1055

文献概要

はじめに
 ヘパリンは血中のアンチトロンビン(antithrombin;AT)と複合体を形成して,第Xa因子やトロンビンなどのセリン蛋白分解酵素を阻害し,強力な抗凝固作用を発現する.一方,抗凝固性が強力なことから出血傾向をもたらし,また血小板凝集を惹起して血小板血栓の出現をもたらすが,その反面,血小板減少を惹起して,さらに出血傾向をもたらす.ほかに脂質系へも影響を及ぼして不整脈をもたらすこともある.
 以上のごとく,重要な抗凝固薬であるヘパリンの臨床上の欠点を削除すべく工夫されたものが低分子ヘパリン(low molecular weight heparin;LMWH)である.LMWHは工業的には亜硝酸や過酸化水素などを用いるchemical depolymerization法や,ヘパリチナーゼなどの特異酵素によるenzymatic depolymarization法でheterogenousな未分画ヘパリン(Unfractionated heparin;UFH)(分子量1,000〜10,000)から作製される.今日では世界で7種類ほど入手可能であり,それぞれの精製法で処理されて平均分子量が4,500〜6,500となり,後述する抗凝固性の特徴の第Xa因子/第IIa因子比率も1.9:1〜20:1と異なる1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら